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ミャンマーから学ぶ持続可能な生活のヒント③「廃棄物問題と持続可能な発展」

みなさんこんにちは。インターン生の杉山です。

 

複数回にわたって、私がミャンマーに訪れた時に得た学びや気づきを発信して参ります。テーマは「ミャンマーから学ぶ持続可能な生活のヒント」です。SDGs(持続可能な発展)は世界共通の課題ですが、途上国の人々の暮らしから学ぶことも多いと感じ、日本とミャンマーの人々が互いに学び合う姿勢が異文化理解の一つでもあると考え、このテーマにしました。

 

前回のテーマは「エネルギーと持続可能な発展」でしたが、引き続き環境問題についてです。今回のテーマはSDGs12目標「つくる責任、つかう責任」から、「廃棄物問題と持続可能な発展」です。

廃棄物といえば、日本でも近年は「フードロス」への対策が飲食店側も客側も意識するようになってきました。当会の食糧支援でご提供していただいている「フードバンクかながわ」様へ、先日私も食糧を受け取りに行きました。そこで、私は想像以上に多くの食糧が集まっているのを目にし、驚きました。また本来捨てるはずだったまだ食べられる食糧を、必要な方々へ繋いでいくというしくみは素晴らしいなと感じました。廃棄物問題については、フードロス削減やリサイクルなど、取り組みが進んでいる環境問題の一つだと思います。

 

ミャンマーではどのような廃棄物問題があるのでしょうか。私が20203月に滞在したミャンマーの農村で実際に目にしたことをお話しさせて頂きます。

 

ミャンマーのゴミ処理問題

日本のように各家庭のゴミを一カ所に集めてゴミ処理場に運ぶというしくみではなく、ミャンマーの農村の多くは自分たちでゴミを処理します。

家庭では、生ゴミは家畜のエサや畑の肥料にし、可燃ごみは畑で燃やしています。燃やすと有毒な不燃ごみは、他の世帯と一緒に集めて民家の少ないも場所や森で燃やします。ミャンマーの農村でも、サランラップやお菓子の包み紙、飲料水のペットボトルなどプラスチックごみはたくさんでます。

 

一方、寺院が運営する学校の学生1000人が共同生活を送る生活圏では大量のゴミがでるため、可燃ごみや土に還らない不燃ごみも穴を掘って埋めます。私もそこで2週間生活したのですが、大きいバケツに可燃ごみも不燃ごみも全て貯めて2~3日に一度、寺院の私有地の穴へ捨てに行きます。しかし、だんだん廃棄物を埋める穴が不足してきているそうです。

 

また、すべてのゴミを同じバケツに入れていたため「なぜ分別しないの?」と訊くと「分別しても最後は全部同じところにいくから」とミャンマーの子供が言っていました。その理由は、不燃ごみをリサイクルの施設が先進国と比べ少ないミャンマーでは、地方の農村から都市部のリサイクル施設へ運ぶにはかなりコストがかかってしまうからです。

このようにミャンマーも含め、途上国の多くはゴミを適切に処分できない問題を抱えています。

 

日本のゴミ処理問題

ミャンマーの廃棄物事情を知り、日本の廃棄物の処理問題に目を向けると、他人事でないことに気がつきました。以前、私はプラスチックについては「リサイクルしているからいくら使っても大丈夫!」と思っていました。

 

しかし、そのような簡単な問題ではありませんでした。

ある論文(注1によるとプラスチックを日本国内でリサイクルしきれる量は消費量のごく一部であり、多くのプラスチックは処理のコストが安い中国や途上国へ輸出されます。しかし、プラスチックを引き受けた途上国内のリサイクル処理では賄いきれず、大量のプラスチックやその他不燃ごみが不法投棄されることや、そのまま燃やされて環境汚染や住民の健康被害に発展するケースもあります。日本や先進国の多くは環境負荷を見えないところに押し込んでいる現状があります。また、最終処分場不足の問題もあります。

 

持続可能な発展に向け、リサイクルだけでなく、そもそものプラスチックの削減・再使用によって生産量、消費量を減らすことが重要だと思います。ミャンマーの農村では、リサイクルはできなくとも「リユース(再使用)」が生活に浸透していたことに驚きました。ペットボトルは半分に切って容器のようにして野菜を入れたり、農業に使うなど使い方は様々でした。

一方、日本では過剰包装の廃止やレジ袋有料化など少しずつ見直されてきました。プラスチック排出量のうち46(注2)は家庭から排出されるため個々の努力で削減することができます。レジ袋有料化の効果の是非については賛否両論ありますが、有料化することでレジ袋を使う量を意識する人々が増え、日本で「リサイクル」だけでなく「リユース」が進むきっかけとなると思います。廃棄物の環境汚染は私たちの日常生活で変えられる部分が多くあると感じます。

 

ミャンマーでの生活が私の当たり前だと思っていたライフスタイルを見直すきっかけになり、私自身では不必要にビニール袋を使わないことや紙パッケージや個包装されていないお菓子など、サステイナビリティに取り組む企業の商品を意識して買い物をするようになりました。「何を選び買うか」で世の中が少しずつ変化していくと考えています。

 

注1)            出典:「途上国における循環型社会形成の政策課題 -リサイクルセクターの能力形成-」早稲田大学大学院社会科学研究科 地球社会論専攻現代経済開発論研究 橋 徹file:///C:/Users/%E5%93%B2/Downloads/Gaiyo-7321.pdf 

注2)            出典:「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」般社団法人プラスチック循環利用協会 2017

 

http://www.cjc.or.jp/school/a/a-4-6.html 

ミャンマーの都市部にはデパートやスーパーマーケットがありますが、一般的にはこのような市場で買い物をします!

市場には安価な中国製プラスチックの日用品や中古の服が並んでいます。

村にある駄菓子屋さんです。プラスチックの処分方法が確立されていないにも関わらず、包装には日本同様にプラスチックが多く使われています。