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ミャンマーから学ぶ持続可能な生活のヒント ②「エネルギー問題と持続可能な発展」

みなさんこんにちは。インターン生の杉山です。

 

複数回にわたって、私がミャンマーに訪れた時に得た学びや気づきを発信して参ります。テーマは「ミャンマーから学ぶ持続可能な生活のヒント」です。SDGs(持続可能な発展)は世界共通の課題ですが、途上国の人々の暮らしから学ぶことも多いと感じ、日本とミャンマーの人々が互いに学び合う姿勢が異文化理解の一つでもあると考え、このテーマにしました。

 

現在COP26(気候変動枠組条約締約国会議)がイギリスで開催されていることにちなんで、今回のテーマは「エネルギー消費と持続可能な発展」です。

※COP26(気候変動枠組条約締約国会議)とは、日本を含む120か国の代表団、科学者、環境保護活動家など2万5000人が集まり、気候変動に国際社会がどのような対策をとるか話し合うための会議です。

 

ミャンマー農村のエネルギー問題

私が訪れた農村では寺院経営の学校に通うため、ミャンマー各地から子供達が集まって約1000人で集団生活を送っているのですが、こうした学生の生活圏に使われる燃料はでした。電気は遠方の火力発電所から送られますが、供給量が少なく、夜間の室内の照明にのみ使うことができました。ミャンマーでは都市部では大規模発電で供給されていますが、未だ多くの地方では近代的なエネルギーは使われていません

 

私も薪を切る手伝いをしましたが、のこぎりや「なた」を使って一本一本手作業で適切な大きさに切るため、本当に力のいる作業でした。一生懸命に皆で切った薪は、最初は何メートルも山のように積まれていますが、1日、2日で使い切ってしまいます。私はこの経験をして初めて、自分達の生活に必要なエネルギー量の多さを目にして驚きました。

しかし、この村では薪をただ消費するだけでなく、村の中心となる僧院の指示によって、周辺の伐採調整量の調整と植林を行っていました。また、政府からは木の伐採エリアが定められているそうです。この話を聞き、薪を消費する生活は自分達の生活で使った分が把握しやすく、エネルギー消費量と環境資源とのバランスが取ることができると感じました。

 

ミャンマーの再生可能エネルギー

しかし私はこうした薪などの非近代的なエネルギーを是としているのではなく、貧困削減や人々の生活水準の向上には電力の普及は不可欠だと思います。近年、途上国のこうした大規模発電が供給されない地域では、中国製の安価な太陽光パネルが手に入りやすくなり、太陽光発電が普及しています。私が訪れた村でも学生の生活圏の外にあるほとんどの家庭では一家に一台、太陽光パネルがあるのを目にしました。設置した家庭に話を伺いに行くと、電気が普及したことにより、「照明が使用できるため夜間の安全や子供の勉強時間の確保ができる。他にも携帯電話の使用や、燃料費の節約ができる」と喜んでいました。こうした生活の向上を目にし、私は再生可能エネルギーの潜在的可能性を知ることとなりました。

 

環境意識の差

また、農村で生活する10代20代の学生達と話をしていて気づいたことがあります。それは環境に対する問題意識が高いことです。一方で、私や周りの10代20代は彼らほど環境に対する問題意識が高いと感じたことはありません。その理由としては、ミャンマーの農村ではエネルギー消費量が日常的に可視化されていることに加え、自分達でエネルギーを調達する人々の生活と消費が直接的に結びついているからだと思います。一方、日本の日常は人々の生活とエネルギー生産は切り離されています。私は日本で自分一人の生活がどれぐらいのエネルギーを消費し、環境負荷がかかっているのか意識したことはありませんでした。

 

一見、日本では大規模発電でミャンマーの農村の生活とでは対照的に思えますが、使用する燃料は主に石炭石油であり、有限エネルギーに依存して生活していることは同じです。

冒頭で触れたCOP26でも言われていますが、資源と環境の制約から現在のライフスタイルの維持は困難です。ライフスタイルや人々の常識変化には、個人の環境への高い意識や関心よりも社会のシステムの変化が必要です。しかし、社会システムの変化をあと押しするには、個々の環境への意識がなければならないと思います。私はミャンマーの生活で自身の生活を客観的に見直すきっかけとなりました。

 

例えば、私自身、以前は買い物では以前はまとめ買いをあれもこれも“使うかもしれない”と買い込んで無駄を出していましたが、2、3日で必要な分だけ買うように心掛けるようになりました。

まだ私の身の回りで実行できていないことは、再生可能エネルギーや車移動を抑えることです。再生可能エネルギーはコストがかかるなどの様々な制約で、まだ日本での普及は不十分だと思います。また、私は静岡県出身なのですが地方での移動に車は欠かせません。

環境エネルギー問題には「生活の質を落とす、我慢をする」ではなくて新しい常識や進歩という考えで、私たちの生活に沿って問題を解決していけば良いと思います。

 

子どもたちとマキを切る様子です。

簡単そうに見えてかなりの力仕事です!