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【最終回】ミャンマーに学ぶ持続可能な生活のヒント⑤「持続可能な経済発展と日本で働くこと」

みなさんこんにちは。インターン生の杉山です。

 

複数回にわたって、私がミャンマーに訪れた時に得た学びや気づきを発信して参ります。テーマは「ミャンマーから学ぶ持続可能な生活のヒント」です。SDGs(持続可能な発展)は世界共通の課題ですが、途上国の人々の暮らしから学ぶことも多いと感じ、日本とミャンマーの人々が互いに学び合う姿勢が異文化理解の一つでもあると考え、このテーマにしました。

 

最終回のテーマはSDGs第8目標「働きがいも経済成長も」から、ミャンマーから日本で働くことについてです。

2019年のミャンマーのGDPに占める出稼ぎ送金額は4.6%で、世界でも47番目にGDPに占める出稼ぎ送金額が高いです。(注1)

 

外国で働くことは、自国経済を外国からの援助に依存せずに持続可能な方法で成長させることができます。また、安定的で賃金の良い仕事がない限り、貧困を根絶することはできません。

 

 

来日予定ミャンマー人にインタビュー

今回は、私がミャンマーで出会った来日予定の女性(Aさん)について書かせて頂きます。安定した仕事を求めて来日する外国人から見た日本はどのような国なのでしょうか。

 

Aさんは5歳から11歳まで生家の近くの小学校に通っていましたが、近くに中学校や高校が無かったため、親元を離れて12歳から私が訪れた村の学校の寮へ住み、高校まで進学しました。その後日本語を勉強し、ヤンゴンの職業訓練校で介護の勉強をしました。日本には2020年に来る予定でしたが、コロナによって来日は困難になってしまいました。現在は、同じく介護で来日予定のミャンマー人と日本語の勉強をしながら、ヤンゴンの僧院で共同生活をしています。

 

以下、12月14日にAさんと電話で話した内容です。

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Q.なぜ日本で働こうと思いましたか。

A.お金を稼いでミャンマーで農業をしている両親を支えたいからです。

 

Q.日本についてどう思いますか。

A.日本の街はとても綺麗で、日本の生活に憧れがあります。一方で、先に日本で働いている友人から「日本で働くことは厳しい」「休日が少ない」という話を聞き、良いイメージばかりではないです。

 

Q.今不安なことはありますか。

A.せっかく勉強した日本語も、日本に来られないこの間に忘れてしまう。本当に自分の日本語が介護の現場で通じるのか不安です。また、日本で働くことになった場合お年寄りとお話しできるか、職場の人間関係にも不安があります。

 

.ヤンゴンの職業訓練校でどんな勉強をしましたか。

A.介護の知識やお年寄りとの接し方、敬語などの話し方を勉強しました。介護の現場でしか使わない言葉はすぐ忘れてしまいます。

 

Q.日本に来て働く以外にやりたかったことはありますか。

A.小さい頃は先生になりたかったのですが、大学まで進学しなければならないため外国で働いて両親を支える道を選びました。

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日本で働く意義と私たちにできること

私はこのやりとりをして、本当はやりたかったことがあったが家族のために働く外国人のが多く来日していることを知りました。こうした人々にとって日本で働くことは大きなチャンスであり、その志を日本に来てからの働き方、人間関係や日々の生活で潰したくないと思いました。

 

当会でインターンとして定住支援をお手伝いさせて頂く中で、日本人にとっての些細な日常生活が外国人の障壁となっていることを知りました。自身に置き換えて、自分が外国人として生活していたら「言語や文化に困惑することはたくさんありそうだ」と容易に想像ができますが、実際に定住支援に関わり、「住民票が無いがコロナワクチンの接種券が欲しい」「銀行の手続きが分からない」などといったより細かい課題があることを知りました。

 

また、私は定住支援の経験を通して、外国人側と日本人側どちらかが一方的に主張したり、依存するのではなく、どちらも歩み寄る必要があることを学びました。

人手不足の日本にとって外国人労働者はなくてはならない存在になりつつあり、ミャンマーをはじめ途上国の人々にとっては、日本で働くことは持続可能な経済発展を実現する機会になります。両者の支え合う関係を構築するために、異文化やマイノリティに寛容になること、外国人と友好的になること、日本語のサポートなど身近なところから続けていきたいと思いました。

 

注1)日本貿易振興機構https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/57a632c1672ac84a.html