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ミャンマーに学ぶ持続可能な生活のヒント④「教育と持続可能な発展」」

みなさんこんにちは。インターン生の杉山です。

 

複数回にわたって、私がミャンマーに訪れた時に得た学びや気づきを発信して参ります。テーマは「ミャンマーから学ぶ持続可能な生活のヒント」です。SDGs(持続可能な発展)は世界共通の課題ですが、途上国の人々の暮らしから学ぶことも多いと感じ、日本とミャンマーの人々が互いに学び合う姿勢が異文化理解の一つでもあると考え、このテーマにしました。

 

今回のテーマはSDGs第4目標「質の高い教育をみんなに」から、ミャンマーの教育についてです!ミャンマーの就学率は97%と高いですが、問題視されるのは暗記型中心の教育の質です。ミャンマーの学生は教育についてどう思っているのか、私が実際にミャンマーに訪れて感じた日本とのちがいについて書かせて頂きます。

 

ミャンマーの教育制度

ミャンマーの教育制度は、小学校5年間(0~4年生),中学校4年間(5~8年生),高等学校2年間(9,10年生)で5歳から小学校に通います。義務教育は小学校のみです。ほとんどの学校が公立ですが,最近は私立の学校の設立も認められるようになりました。また、ヤンゴンのような大都市では少なくなりましたが、僧院での寺子屋式教育も行われています。(外務省 HP参照)

私が滞在したミャンマーの村の学校も、最初は僧侶が建てた教育機関が国から認められて公立学校となり、「お寺がこんな大きな学校を作れるのか!」と初めて聞いた時は驚きました。ミャンマーは9割が仏教徒で信仰心も厚く、寺院にたくさんの寄付が集まります。寺院は地域住民の拠り所としてや、寺院経営の学校に通っている間は誰でも教育が保障され衣食住も整っているため、福祉としての役割も大きいです。

また、私が訪れた村は教育に力を入れている村であるため、ここからは少しミャンマーの農村についてもお話しさせていただきます。

 

村の概要

私は2020年3月にミャンマーのシャン州ニャウンシュエの「パヤタン」という農村に2週間滞在しました。少数民族のパオ族が多く住んでいるこの地域は、2000年頃までパオ族とミャンマー政府の内戦エリアでした。戦後、「ポンポンジー」と敬称で呼ばれる一人の僧侶が荒廃した村に寺院を建て、学校を建て、人々が集まり栄えました。

 

現在は諸外国のNGOや財団の協力を得てインフラ整備、幼稚園や小中学校、高校、ミシンの職業訓練施設、診療所などが建てられました。また村で生活を営む方々とは別に、学生の生活圏があり、様々な地域から5~20歳の約1000人の子供が集まり、村で共同生活を送っています。近年は、「村の学生を刺激し勉強意欲を高め、新たな情報や知識経験を得る」ということを目的に、私のような外国人の学生を受け入れています。

英語・日本語習得の授業もあり、学生の卒業生の中には日本で働いている者もいます。

 

冒頭で述べた通り、ミャンマーでは長い間、軍事政権の方針として、子どもたちに「考えさせる教育」ではなく「暗記をする教育」を推奨していました。民主化が進むにつれ、政府や海外の援助機関が「考える教育」を段階的に推し進めていましたが、農村ではまだ暗記型教育でした。

 

ある日、朝5時に朗読する声が村中から聞こえて目が覚めました。外に出ると、村のあちこちで子供達がテスト前に教科書を一語一句、声に出して暗記していました。同世代のミャンマー学生に「学校の勉強はどう?」と聞くと、暗記型教育は良くないと思いつつも、ミャンマーは日本と違い落第があるため「やるしかない」と感じている学生が多くいました。

しかし、「やるしかない」と感じていても勉強意識は物凄く高かったのが印象的でした。それは落第制度以外の理由もあると思います。

 

ミャンマー国民にとっての教育の意義

ミャンマーの産業は未成熟で日本と比べ、就労機会が低いため、公務員や医師など手に職を付けることを希望する学生が多くいます。私は、義務教育9年間で学校に通うことができる有難みを感じたことは無く、学校での勉強が「自分の仕事を掴み取ること」に繋がると感じたことはなかったため、ミャンマーの学生の勉強に対する熱意や意識の高さには驚きました。逆に教育機会を逃してしまうと、自分の夢を叶える機会を逃し、貧困から脱することができない厳しさを痛感しました。

 

学校を経営するに至ったミャンマー寺院側はどのように思っているのか気になり、「なぜここまで人材育成に力を入れているのですか?」とポンポンジー(村長・住職)に質問すると、「農村の人々が都市部の人々と同様に、教育を受けて良い職に就く機会を得るため。教育にはより良い人生を送る力があるから」と仰っていました。私はこの言葉を聞いて、発展途上国では特に教育が一生の財産、生き抜く力になると感じました。そして良い人材を育成することはいずれミャンマーの発展、豊かさに繋がる、持続可能な発展であると思いました。

 

当会でもミャンマーの教育・貧困格差を減らすために、ミャンマー西部ラカイン州タンドゥエにあるパレ・ヤーダナー寺院学校の支援を行っています。詳しくはこちら をご覧ください。

学生たちは毎日、学校が終わって深夜までパゴダ(寺院)で自習をしています。